クレーター・ニキビ跡が消えない本当の理由とブレッシングが根本治療として選ばれるわけ

「ダーマペンを何回も受けたのに、クレーターだけが変わらない」「レーザーも試したけれど、凹みは残っている」
——複数の治療を試した経験がある方ほど、この悩みは深くなりがちです。

この記事では、なぜクレーターが従来の治療で消えにくいのか、その構造的な理由と、ブレッシングが根本治療として選ばれる理由を、
形成外科専門医の立場から解説します。

クレーターが消えない、本当の理由

クレーターが治りにくい大きな理由は、ダメージが皮膚の表面だけでなく、真皮層という深い層にまで及んでいるためです。

肌の表面にある表皮は、ターンオーバーによって数週間単位で入れ替わります。
しかし、クレーターの原因となる変化は、表皮よりも深い真皮層や、場合によっては皮下組織にまで及んでいます。

強いニキビの炎症が起こると、その部分では通常の皮膚構造が乱れ、修復の過程で硬く不規則な線維性組織が形成されることがあります。
この瘢痕組織は、正常なコラーゲンがきれいに並んだ状態とは異なり、乱雑で硬く、周囲の皮膚を下方向に引き込むように作用します。
その結果、皮膚表面に凹みとして現れるのがクレーターです。

特にローリング型やボックスカー型のクレーターでは、真皮から皮下にかけて線維性の癒着が生じ、皮膚が下方向へ引っ張られていることがあります。
この癒着や拘縮が残っている限り、表皮のターンオーバーを待つだけでは改善しにくく、浅い層だけを刺激しても十分な変化が得られない場合があります。


なぜダーマペンやレーザーだけでは限界があるのか

ダーマペンやフラクショナルレーザーは、皮膚に微細な傷をつけることで、肌のターンオーバーを早め、コラーゲンの生成を促す治療です。
これらは垂直方向、つまり皮膚の表面から深さ方向にアプローチする治療であり、毛穴の開きや浅いニキビ跡、肌質改善には高い効果が期待できます。

ただし、垂直方向のアプローチでは、皮膚を下に引っ張っている縦方向の癒着組織そのものを切り離すことは難しいとされています。
針を垂直に刺すだけでは、癒着の原因である拘縮に対して十分な効果を与えられないためです。

そのため、「ダーマペンを繰り返しても変化が薄い」 という場合、それは治療が効いていないのではなく、
そもそも癒着組織へのアプローチが不足している可能性があります。

ポテンツァなどの垂直刺入のマイクロニードルRFについては以下コラムでも詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。

 ポテンツァとブレッシングの違いを医師が徹底比較|「ポテンツァで治らなかった」方へ伝えたいこと

ブレッシングが根本治療として選ばれる理由

クレーターの根本原因である癒着組織を切り離すには、皮膚の表面から縦方向(垂直方向)ではなく、組織の中を横方向に進みながらアプローチする必要があります。
この「横方向から癒着を切り離す」処置は、サブシジョンと呼ばれ、当院では針と注射器を使った単独の施術としても行っています。

ブレッシングは、このサブシジョンの考え方を、ニードルRFという肌再生治療の中に組み込んだ機器です。
針を45度の角度で斜めに刺入する世界初の傾斜刺入システム(DRS)を搭載しており、垂直に刺さる従来のニードルRFとは異なり、皮下を斜めに進みます。
この斜めの動きによって、縦方向に癒着している線維組織を横方向に切り離す効果(サブシジョン効果)と、RFエネルギーによる肌の再生・薬剤導入を、1回の施術で同時に得ることができます。




つまり、当院では 「癒着を切り離すこと」 と 「肌の再生を促すこと」 を、別々の施術(手技によるサブシジョン+他の肌再生治療)で行うことも、ブレッシング1台で同時に行うことも可能です。
表面の刺激だけでは届かなかったクレーターの本当の原因に、直接アプローチできる点が、ブレッシングが根本治療として選ばれる理由です。

ブレッシングがすべての答えというわけではありません

正直にお伝えすると、ブレッシングはすべてのクレーターに対して唯一の正解というわけではありません。

癒着が非常に強く、範囲が広いケースでは、当院で手技による部分的なサブシジョンを先行させ、ある程度癒着を解除したうえでブレッシングや他の治療に移行する方が、効率的な場合もあります。
また、炎症の強い赤ニキビが多発している状態では、まず炎症を抑える治療を優先すべきこともあります。
あるいは、アイスピック型と呼ばれる細く深いクレーターの場合、ブレッシングだけでは改善が限定的となることがあります。 

ブレッシングのダウンタイムや治療回数については、以下のコラムで詳しくお伝えしていますので、検討される際はそちらも参考にしてください。

ブレッシングのダウンタイムはどのくらい?施術後の経過・注意点を医師が正直に解説
ブレッシングは何回受ければいい?効果を最大化する回数・頻度・他施術との組み合わせを解説


当院では、クレーターの深さや癒着の強さ、これまでの治療歴を踏まえたうえで、ブレッシングが本当に適しているかどうかを含めて、正直にご提案しています。

よくあるご質問

これまで他院でダーマペンを受けていましたが、ブレッシングに切り替える意味はありますか。

ダーマペンとブレッシングはアプローチする方向が異なるため、ダーマペンで変化を感じにくかった方が、ブレッシングで反応が変わる可能性はあります。
これまでの治療歴を確認したうえで、判断させていただきます。

クレーターの種類によって、効果に差はありますか。

線維による癒着が関係しているローリング型やボックスカー型では、サブシジョン効果が特に有効とされています。
アイスピック型のような狭く深いクレーターには、別のアプローチが必要になることもあります。

真皮層のダメージは、結局治らないのですか。

真皮層は自然なターンオーバーに3〜5年程度かかるとされており、自己修復力だけでの改善は難しい場合が多いです。
ただし、医療的な介入によって、コラーゲンの再構築や癒着の解除を促すことは可能です。



監修:米谷 公佑(まいたに こうすけ) 
KYOTO K CLINIC 院長
形成外科専門医 ECFMG certificated(米国医師資格取得) 大阪大学形成外科教室出身
Johns Hopkins University・University of Miami 研究歴