スレッドリフト(糸リフト)とは?メスを使わないたるみ治療の効果と注意点

切らずに、たるみに直接アプローチする

スレッドリフト(糸リフト)とは、特殊な糸を皮下に挿入し、たるんだ組織を物理的に引き上げる施術です。
ハイフやオールタイトのような機器による引き締めとは異なり、糸そのものの物理的な力でリフトアップを図る点が特徴です。
今回は、糸リフトの仕組みと効果、注意点についてまとめます。



糸リフトの仕組み

糸リフトで使用される糸の多くは、表面に「コグ(棘)」と呼ばれる突起がついています。
この突起が皮下組織に引っかかることで、糸を引き上げた際に周囲の組織ごと持ち上げる仕組みです。
挿入した直後から、物理的な引き上げ効果を実感しやすいのが特徴です。

糸の素材は、体内で時間をかけて吸収される性質のものが一般的です。
吸収されるまでの過程で、糸の周囲にコラーゲンが生成される反応が起こるため、物理的な引き上げ効果に加えて、組織そのものの質を高める効果も期待されます。(肌質改善効果)
糸が吸収された後も、この間に作られたコラーゲンによる支持力がある程度効果を持続させます。


機器による引き締めとの違い

・仕組み
ハイフやオールタイトは熱エネルギーで組織を収縮させるのに対し、糸リフトは物理的に組織を引き上げます

・効果の出方
機器は施術後、時間をかけて引き締まっていくのに対し、糸リフトは施術直後から引き上げを実感しやすい傾向があります

・持続期間
機器による引き締めは半年前後が目安であるのに対し、糸リフトは糸の種類にもよりますが、より長い期間効果が持続する傾向があります


正直にお伝えすると、糸リフトは機器による治療より体への働きかけが大きい分、ダウンタイムもやや長くなる傾向があります。
どちらが適しているかは、求める変化の大きさと、許容できるダウンタイムのバランスによって変わります。



当院で扱う糸リフトの種類

糸リフトと一口に言っても、使用する糸の構造によって「引き上げを目的とした糸」と「引き締め、肌質の改善を目的とした糸」の大きく2種類に分かれます。


コグ(棘)がついた糸:物理的に引き上げるタイプ

糸の表面に設けられたコグを皮下組織にかけ、移動した組織を支えることで、たるみを物理的に引き上げるタイプです。
Everlifting threadやアルテミスが、このタイプに分類されます。


Everlifting thread
PDO(ポリジオキサノン)を主成分とする吸収性の糸です。
比較的しなやかで、フェイスラインや口元、ほうれい線周辺など、たるみの状態に応じて挿入する位置や本数を細かく調整できます。
組織を引き上げながら、自然な輪郭へ整えることを目的とします。

・アルテミス
「第4世代の糸」とも呼ばれる、立体的な3Dメッシュ構造を備えた吸収糸です。
組織を広い範囲で捉える構造により、優れたリフトアップ効果と持続性が期待できます。
たるんだ組織をしっかりと引き上げ、輪郭を整えたい場合に適しています。




コグのない滑らかな糸:質感を整えるタイプ

ショッピングリフトに使用する糸は、コグのない滑らかな吸収糸で、「モノスレッド(mono thread)」とも呼ばれます。
コグ付きの糸のように組織を直接持ち上げることよりも、多数の糸を皮下へ挿入し、肌のハリや引き締まりを促すことを目的としています。


ショッピングリフト
細く滑らかな吸収糸を、頬やフェイスラインなどへ複数本挿入する施術です。
糸の挿入後から吸収されるまでに生じる創傷治癒反応を通じて、周囲の血管新生や線維芽細胞の活性化、コラーゲン産生の促進が期待されます。
これにより、肌のハリや弾力を高め、緩やかな引き締め効果を目指します。




組織を双方向へ広げ、段差をなだらかにするタイプ

口周りやほうれい線など、組織の偏りによって段差が生じている部分へ適切に挿入することで、組織を両方向へ伸展させ、凹凸をなだらかに整えます。
強く引き上げる施術とは異なり、過度なリフト感が生じにくく、自然な仕上がりを目指せる点も特徴です。


アフロディーテ(ぽにょりん)
「ぽにょりん」の名称でも知られるアフロディーテには、正式には「エクステンダーマスター」と呼ばれる糸が使用されます。
糸の中央へ向かうようにコグが配置されており、組織を糸の中央から外側へ双方向に広げるように作用することが特徴です。




使い分けの目安

たるんだ組織を物理的に引き上げたい場合は、Everlifting threadやアルテミスが適しています。
肌のハリや緩みを改善し、全体を引き締めたい場合にはショッピングリフト、口周りやほうれい線などの局所的な段差を自然になだらかにしたい場合にはアフロディーテが選択肢となります。

それぞれ構造と役割が異なるため、たるみ、肌の緩み、局所的な段差が複合している場合には、状態に応じて複数の糸を組み合わせることもあります。



ダウンタイムと注意点

糸リフトは、施術部位に麻酔を使用したうえで行いますが、術後は内出血や腫れ、突っ張るような違和感が生じることが一般的です。
腫れが落ち着くまでには2〜3週間程度を見ておく必要があり、内出血がある場合は完全に消えるまでにさらに時間がかかることもあります。

大切なご予定がある場合は、少なくとも3〜4週間前、余裕を持って1ヶ月半前後のご相談をおすすめします。
施術後しばらくは、糸が引っかかった感覚や、表情を大きく動かした際の違和感を覚える方もいますが、多くの場合は時間の経過とともに落ち着いていきます。



よくあるご質問

糸リフトの効果はどのくらい持続しますか。

糸の種類や本数、たるみの状態によって個人差がありますが、糸が吸収される過程で生成されたコラーゲンによる支持力が、糸の吸収後もある程度持続します。
効果の続き方については、使用する糸の種類によっても異なるため、診察時に詳しくご説明します。

ハイフやオールタイトと迷っています。どちらを選べばいいですか。

すぐに引き上げを実感したい方や、たるみの程度がある程度進んでいる方には糸リフトが向いていることがあります。
一方、ダウンタイムを抑えて穏やかに引き締めたい方には機器による治療が向いています。
どちらか一方を選ぶというより、それぞれ異なる作用を生かして組み合わせることが効果的です。 

Everlifting Threadとショッピングリフト、アフロディーテはどう選べばいいですか。

フェイスラインやほうれい線など、部分的なたるみが気になる場合はアフロディーテ、頬からフェイスライン全体のたるみが気になる場合はEverlifting Threadが候補になります。
たるみよりも肌のハリ不足が気になる場合は、ショッピングリフトが向いています。
複数のお悩みが重なっている場合は、組み合わせもご提案致します。

糸が体内に残ることに不安があります。

使用する糸の多くは、時間をかけて体内で吸収される素材でできています。
半永久的に体内に残る糸ではないため、この点についてはご安心いただけますが、素材の種類によって吸収までの期間は異なりますので、気になる場合は診察時にご確認ください。

施術後、すぐに仕事に戻れますか。

腫れや内出血の程度には個人差があるため、施術直後の出社が難しい場合もあります。
人と接する機会が多いお仕事の場合、施術後数日〜1週間程度は余裕を持ったスケジュールを組んでいただくことをおすすめします。


監修:米谷 公佑(まいたに こうすけ) KYOTO K CLINIC 院長
形成外科専門医 ECFMG certificated(米国医師資格取得) 大阪大学形成外科教室出身
Johns Hopkins University・University of Miami 研究歴




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